夜風にまたがるニルバーナ

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愛しいあなたの名も知らず                 私はお姫様   私の周りには   いつも人がいたわ     今日は特に人がいるわ   何事かと思えば   私の婚約者が来るらしいの   そんなの関係ない   そう思ってたんだけど     彼を見た瞬間   心を奪われた    "お父様、彼は"     "彼はね─"     言おうとしたところで   誰かが来たわ     "お姫様、このお花をどうぞ"     "貴様どこから入ってきた!"     お父様が怒鳴っているけど   関係ないわ   私は花を受け取り   スゥッと匂いをかいだの   その瞬間目の前がぐらついて   私は倒れたの     お父様が何か言ってる   聞こえないわ   花をくれた人は   私を見て笑っているわ     私の周りには人だかり   その中に   愛しい彼       あぁ、一言でもいいから   話してみたかった     私は彼に手を伸ばす   彼は私の手を握る     何か喋っているわ   私は彼の口を読み取る     彼の口からは   "話してみたかった"   って   私と同じ事を考えていたなんて   運命を感じちゃうわ   でも   私には未来はないみたい       愛しいあなたの名も知らず     (私の名前はジュリアよ。貴方は?)  
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