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「…ん…う…ん…?」
ムゲンは目を覚ました。ゆっくり上半身を起き上がらせ、左手で前髪をくしゃっと抑えた。
「…変な夢を見たな…」
と、さっきまで自分が見ていた夢を思い出しながら、ムゲンはふと気付いた。
「…あいつらはどこだ…?そして、ここは一体…?」
今まで一緒に旅をしていた三人の人達がいない…。そして、自分が今どこにいるのかさえわからない…。
ムゲンは辺りを見回した。
何もない、小さくて古いたんすが一つと一人用のテーブルと椅子が二つ、そして、自分が今座っているベッド、壁には誰かの写真が飾ってあり、大きな窓がある狭い部屋。
「俺の剣は…?!」
ムゲンは自分専用の自分の身長位ある大きな剣を探した。
すぐ傍にあった。
ムゲンがホッとした時誰かが部屋に入ってくる気配がした。
「…もしかしたら、何か事情を知ってる奴かもしれないな…しかし、もしもの事があるといけない…」
ムゲンは剣をひそかに構えてその人物が部屋に入ってくるのを待った。
……………ガチャ………
ドアを開ける音がして誰かが入ってきた。
「あ、まだ起きちゃダメだよぅ!!」
その人物は剣を持って待ち構えてるムゲンに第一声を放った。
女の子だ。
「なっ?!お前は一体…?!」
ムゲンは今までの緊張感がとけ、訳がわからなくなってしまった。
「私?私はカナト!16歳。この家の持ち主で貴方は何故かこの家の前で倒れてたの。ねぇ、どうして倒れてたの?」
カナトが興味ありげにムゲンに聞いた。
「…わからない…こっちが聞きたい位だ」
少し冷静になったムゲンは答えた。
「ふぅん?」
カナトは首を傾げて言った。
ムゲンはふと壁に飾ってある写真が目に入った。
「…あの写真の奴…誰だ…?」
ムゲンのいきなりの問いにカナトはあっさり答えた。
「私のお兄ちゃんだよ。行方不明だけどね…。」
カナトの表情が少し暗くなった。
「あ…悪い…(汗)」
「あ!大丈夫だよ!私はいつか帰ってきてくれるって信じてるから…でも、どうしていきなりそんな事聞くの?」
ムゲンはその問いに少し戸惑った。
そのまま答えた。
「…。その写真の奴知ってる様な気が…するんだ…」
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