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雌
不意に見た膨らんだ胸が
何故か酷く残酷に映り
鏡の向こうで涙する女が居た
抱かれて縺れて
濡れてまみれて
明快で滑稽な哀しいそれを知りながら
悦楽に身を浸すこと
そんなことが汚れているとも思わないけれど
それでも
今
不意に見慣れた現実に涙する女が居る
脳を犯した粘膜が滲んで
説明の付かない背徳に理由を付けようと必死
卵子を持つものしか出来ないという
美しく儚い生き方も出来た
そんなものでは納得できない気丈な堕落者が
意地を張っているに過ぎないわ
完成した現実を前に
咽び泣く莫迦な創造主が居る
醜くても利用することを選んだ
この体なら
闘えるだろう
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