5822人が本棚に入れています
本棚に追加
「何でアタシがここに勤めてることわかったの?」
エリカが僕の横に座り、不思議そうに聞く。
「一昨日この店に同伴出勤で入っていくのを見たし、さっきのレストランで客が君のこと【エリカちゃん】て呼んでるのが聞こえたからね。」
僕は正直に答えた。
「それで、こんなとこまで来て、いったいアタシに何の用?
アタシはあなたの客になんかならないよ。」
「もちろんわかってるよ。僕は営業しに来たわけじゃないよ。
君に会いたかったから、ここに来たら確実に会えるかな?と思ってさ。」
そして僕は持ってた手帳を一枚破って自分の携帯番号を書いた。
「僕の携帯番号渡しとくよ。気が向いたらかけてみて。」
「アタシ捨てちゃうかもよ。」
「ハハハ。そうだね。」
こいつ本当に捨てるかもな…
「アタシはあのお客さんと同伴したのにほっといてあなたのとこに来たんだから、高い酒入れてよ。」
「さすがだな。もちろんそうさせてもらうよ。」
彼女がボーイを呼ぶと僕は「リシャール」を注文した。
ボーイはびっくりして一瞬固まったが、すぐに用意しに行った。
まわりを見たら、他の客とホステスも固まってた。
最初のコメントを投稿しよう!