プロローグ

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客が僕の見え見えのお世辞や甘い言葉にその気になり夢中になっては、店に来ては僕のために大金を使う。   快感だった。   「好きだよ」の一言で客達は僕の彼女になった気分になる。   そして電話をすればすぐに飛んでくる。   店の客はクラブのホステス、風俗で働く人や社長夫人、そしてナースが多い。   どの客もみんな金に糸目を付けず使いまくる。   特に高杉建設の社長夫人は凄かった。   僕にロレックスの時計や車に高級品ばかり貢いでくれた。    その代わり僕は高杉夫人のペットだった。   客の中にはマジで困る客もいる。   一度デートしただけで彼女気取りになり、僕を束縛し、あれこれ言いだす。   この頃から僕はホストの仕事に嫌気がさしてきていた。   No.1になって、もうこの仕事に対するやりがいが僕の中から消えた。   自分を偽って、生きていくことに限界を感じていたから。   今まではそれがホストの仕事だからと割り切っていたが、甘い言葉は本当に好きな女に言ってあげたい。   あの日もしつこい客につきまとわれてうんざりきていた。     そう、エリカに出会った夜。   僕は彼女に会って恋に落ちた。
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