エリカ

2/16

5822人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
基本的に僕はアフターはしない主義。 あの日僕は、マリという客にアフターを迫られていた。   彼女に毎日のようにしつこく電話やメールで「私と付き合ってほしい」と言われ、かなりキツかった。   いつまでも返事をはぐらかす僕にマリは苛々していたのかもしれない。   そんな僕らの前をひとりの女の子が仕事を終えた帰り前を通り過ぎた。   この子どこかで見た顔…そういや昨夜夜蝶に入っていくのを見かけた子だと思った。   マリにしつこくされて参ってると、その子が突然振り返りツカツカと戻って来た。   「あんたさぁ、さっきから恥ずかしくて聞いてらんないんだよ。 断ってるんだから、さっさと諦めて帰ったらどうなのよ。 しつこいっつーの。」   びっくりしたけどこの威勢のいい女の子に、なぜか興味がわいた。   僕はどさくさに紛れて、その子を自分の彼女だと言ってしまった。   当然マリは怒って帰って行った。     二度と僕を指名しないだろう。   その後、彼女は客ひとり減らしてしまったことを謝ってきた。   僕は肩の荷がおりて、ついマリのことを『ウザイ女』って言ってしまった。   その言葉を聞くと彼女はもの凄い剣幕で僕を怒った。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5822人が本棚に入れています
本棚に追加