エリカ

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この街では有名なクラブ“夜蝶”   僕は初めて足を踏み入れた。   そして僕は桜ではなくエリカを指名した。   そのことでこの先、彼女が桜にいじめられることになるとは、この時全く考えもしなかった。     いつもは慎重深いくせに、ただ彼女に会いたい一心で行ってしまった。   ボーイが僕を見て少し驚いている。   「何でホストが?」とでも思ったのだろう。   ホステス達も注目している。   僕がここに来ることはそんなに珍しいことなのか?   「いらっしゃいませ。誰かご指名はございますか?」   「エリカさんをお願いします。」   「エリカさんですか。わかりました。」   ボーイは僕を席に案内し、エリカを呼びに行った。   少しして、かなり驚いた表情の彼女が僕の前で立ちすくんでいる。   「よう。」   軽い挨拶をする僕に対して彼女は少し苛つき気味で言った。   「いらっしゃいませ。アタシにこの前の責任を取れと言いに来たのですか?」   今思えば彼女がそう思うのも当然だろう。   「ハハハ、相変わらず強気だなぁ。 その負けん気がないとこの仕事やっていけないけど。」     僕は彼女を茶化すことで恥ずかしさを紛らしていた。
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