―苦痛―

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  そう, あの時から絵梨は要らない子になった。     母のお腹を蹴る動きも無く, 医者は不安になったという。         父「とりあえず...降ろせるか病院に行って聞いてみよう...」   母「はい...」     病院へと移動する車の中は, 沈黙でいっぱいになった。   父が助手席のドアを開ける。     母は泣いていた。     受け付けを済ませ, 診察を待つ時間すら長かった。     医者「どうぞ。」   医者が手を椅子に向ける。   医者「順調に大きくなられてますね。今日はどうされました?」     母が涙をこらえている。     父「....今から降ろすとなると...大丈夫ですか?」   医者「殺す事になりますし,母体にも大変な負担を伴います。」   父「...」 母「...こんな子,要らないわ!!」   医者が困っていた。   父「お前の体が危ないんだ。産むしか無いだろう?もう,俺はいいから...」   母「...ごめんなさい。」           絵梨は 産まれる   要らない子として。  
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