幸福

11/20
前へ
/20ページ
次へ
 次の日、俺は会社を休んだ。なにも気力が起きなかった。なにより、マコトと顔を合わせる気になれなかった。  マコトが親友じゃなければよかった──  そしたら、俺はマコトを憎むことができたのに──  ふと、壁に掛けてあるコルクボードに目をやった。コルクボードにはたくさんの写真が画鋲で止められていた。ユカとふざけて口付けをしながら撮った写真。動物園に行った時の写真。そして、二人で初めて長野へ旅行に行った時の写真。ハニカンだ笑顔のユカと照れ隠しに変な顔で写っている俺。わざわざ老夫婦に頼んで撮ってもらったっけ。コルクボードには二人で過ごした思い出で溢れていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加