序章 二人の出会い

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自由になった両手でパンとチーズを持ち直し、みたび大樹の天辺に向かって呼びかけてから、待つこと数十秒…… 「キュ……キュキュ~!」 「キュキュキュ~!」 慌てふためく悲鳴のような鳴き声と好奇心に満ちあふれた嬉しそうな鳴き声が同時に聞こえたかと思うと、微かにこぼれ落ちてくる木漏れ日を背に、その小さな生き物は大樹の葉と葉の間から滑り落ちてきた。 「っと、おっとっと」 両手が使えなかったため、その小さな生き物をフードを使って見事にキャッチするサン。 「ふぅ、お前なかなか根性あるなぁ。あんな高いところからジャンプするなんてさ」 「キュ~、キュキュキュ~」 サンが笑って褒めてやると、フードの中からようやく顔を出した小さな生き物は、凄いだろうと言わんばかりに胸を反らした。 ふわふわとした綿毛のような真っ白な丸い体、小さな手足と瞳。手の平サイズのその愛らしい生き物は、深い森には必ずと言っていいほど生息している魔物だ。空から舞い落ちる雪に姿形がそっくりなので、ホワイトスノーと呼ばれ、親しまれている。
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