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それから数ヶ月が過ぎ、洸は留学先のアメリカに渡った…。
その間、毅は洸に負けじと勉強し、学年トップの成績で高校を卒業。
大学にも入り、先生に一目置かれる存在になっていた。
しかし、一年で戻って来ると言っていた洸は、未だに日本に戻って来てはいなかった…。
───あれから何年が過ぎたのか…。
毅は、まだ洸を忘れる事が出来ず、彼女は勿論のこと、彼氏も作っていなかった…。
頭が良いからなのか、毅の周りに人は寄って来るが、毅が興味を持つ人は、誰一人としていなかった───…。
『毅…』
自分の名前を呼ぶ洸の幻聴が、頭の中で響く…。
笑顔の洸。悲しそうな顔の洸。色っぽい顔の洸…。
全てが全て、毅の…自分のものだ、と…。
洸が留学してしまってから、毅は自分に言い聞かせていた…。
「毅……?」
不意に、毅は誰かに声を掛けられた。
その声に聞き覚えのあった毅は、少し狼狽えたが、何もなかったかの様に、その人物を無視した。
今までだって必死に探した洸が、今此処にいる訳がない…。
「毅❗」
「……っ?」
毅は、自分を呼ぶ相手にイライラし、文句を言おうと口を開くが、相手の顔を見るなり、何も言えなくなった…。
「……。ただいま、毅…」
相手はそう言って、にっこりと微笑んだ。
その笑みは、毅が今まで見てきた中でも、一番嬉しそうな笑みだった───…。
「こ、ぅ…?な、何で…っ?」
「ほんまは、一年で帰って来るつもりやったんけど、あっちの学校がどうしてもって言うて…💧💧で、こんな何年も延びたんや💧💧…ごめんな?でも‥、待っててくれたんやろ…?」
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