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「王様は非道な方です。国の繁栄のために、国民をこき使われます」
「国民が国のために働くのは当たり前のことだろう」
「国のために働く、その点はそうかもしれません。しかし、それは命をかけてまでせねばならぬことでしょうか」
よく意味が分からない。僕はおでこにしわを寄せた。
「今、一番王子は戦わずに、血を流さずに近隣国とうまく付き合う方法を模索しています。必ずしも戦争をしなければいけない現状ではないのですよ」
「意味が分からない」
僕は難しすぎて、考えるのをやめた。
「……じきにわかればいいですよ。王子が大きくなったときには、もうそんな血なまぐさいことは行われていないでしょう」
女は小屋のドアを二回叩いた。
「はーい」
中から、幼い声。古臭い音を立てながら、ドアが開いた。
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