魔法の使えない王子様

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 最近、みんな変なんだ。イチ兄も、兄様も。ツィーニはいつだって変だからいいんだけど。僕はドシドシ足を鳴らして歩く。白い廊下にこだまする足音。 「つまらない」  僕はうーっとじたんだ。世話役と遊ぶのも飽きた。今日のために、今日の分の勉強はすべて終わらせた。 「つまらなーい!」  僕はムカムカして、飾ってある絵画をぐるりとまわす。 「兄様はどこいったんだよー」  もう一度叫んで、足を鳴らす。途端に、僕は落ちた。 「うわっ」  床が急に無くなったのだ。びっくりして、声が出せなくなった。 「……あら、珍しい……小さな王子様、何用ですか?」  真っ暗闇から、女の声。まさかおばけ? 僕はカチンコチンに固まり、動けなくなった。
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