魔法の使えない王子様

4/16
103人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
 こんなとき、僕にも魔法が使えたらいいなって思う。まぶしい光を出して、部屋を照らしておばけを追い出すんだ。でも、どうやったら魔法が使えるようになるのかわからない。多分、兄様の年齢になったら使えるんだろうなあって思う。 「どこか体調でも悪いのですか?」  クスクスと笑い混じりの声。僕は馬鹿にされている気がして、言い返す。 「僕は健康だいっ」  でも口から出た言葉は子どもっぽくて、黙っていればよかったと後悔する。 「そうでしたか」  カツン、カツンと足音。おばけが近づいてきてる? 僕の心臓はきゅっと縮んだ。でも、落ち着いて考えると、おばけって足ないよね。ってことは、おばけじゃない! 単純なもので、僕の手足は自由に動けるようになった。 「今日はお誕生日でしたね、四番目の王子様」  足音が止まった。 「あ、ああ、そうだ」  僕は精一杯偉ぶる。 「王家直属薬屋から、プレゼントを差し上げましょう」  暗闇の声は、僕に呟いた。 「あなたに世界を見せてあげましょう」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!