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こんなとき、僕にも魔法が使えたらいいなって思う。まぶしい光を出して、部屋を照らしておばけを追い出すんだ。でも、どうやったら魔法が使えるようになるのかわからない。多分、兄様の年齢になったら使えるんだろうなあって思う。
「どこか体調でも悪いのですか?」
クスクスと笑い混じりの声。僕は馬鹿にされている気がして、言い返す。
「僕は健康だいっ」
でも口から出た言葉は子どもっぽくて、黙っていればよかったと後悔する。
「そうでしたか」
カツン、カツンと足音。おばけが近づいてきてる? 僕の心臓はきゅっと縮んだ。でも、落ち着いて考えると、おばけって足ないよね。ってことは、おばけじゃない! 単純なもので、僕の手足は自由に動けるようになった。
「今日はお誕生日でしたね、四番目の王子様」
足音が止まった。
「あ、ああ、そうだ」
僕は精一杯偉ぶる。
「王家直属薬屋から、プレゼントを差し上げましょう」
暗闇の声は、僕に呟いた。
「あなたに世界を見せてあげましょう」
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