魔法の使えない王子様

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「世界? そんなの知ってるよ、たくさん勉強してるもん」  馬鹿にするな、と鼻を鳴らす。 「実際に見てみると、また違うものですよ」  女の声と同時に、何か粉っぽいものが鼻から入る。急に眠くなる体。なに、何が起こったんだろう……。 「ゆっくりおやすみなさいませ」  愉快そうな女の声で、僕は眠り薬をかがされたのだと、直感した。王子にこんなことをしてただで済むなど思うなよ……もうろうとする意識の中、僕は叫んだ。 「お祝い、きっとあなた様は喜んでくれます」  自信満々に、直属薬屋、エリーは笑う。そして小さな王子を抱き上げると、更なる暗闇に消えていった。
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