魔法の使えない王子様

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 はっと目を覚ますと、ガラガラ揺れる馬車にいた。 「な、なんだ?」  僕は乱暴に揺れる馬車の中から、外を見る。  一面の、緑色。僕は目をぱちくりさせた。 「お目覚めですか?」  クスクス笑い。眠らされる直前に聞いた声。 「お前!」  僕は立ち上がって、指差す。しかし、ガタガタ揺れる馬車によろけてしまう。 「あと少し大人しくしてください」  黒ずくめの女は、ゆるりと僕の頭を撫でた。 「気安く触るな」  僕は腕を組んで、どかっと座る。クスクス、女から漏れる笑い。 「笑うな!」  僕はぷっくり頬を膨らませた。
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