魔法の使えない王子様

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「僕にこんなことして、どんな仕置きが待ってるか知らないぞ」  僕は女を脅してやろうとする。しかし女はものともしないばかりか、逆に僕をびっくりさせた。 「私に仕置きなど、誰にもできませんよ」 「な、お父様が黙っているわけがないだろう」 「黙っていますとも。例え私があなたを連れ去ったとしてもね」 「僕を連れ去る気か」 「例え話ですよ」  女はやんわりと話をそらす。 「ああ、見えてきましたね」  僕はますます頬を膨らませる。 「あれが街ですよ」  しばらくして、馬車がゆっくりと止まる。 「さあ、降りましょう」  女は僕の腕をつかみ引っ張る。 「痛い、そんなに強く引っ張らなくても降りる!」  僕は女の腕を振りほどき、馬車を降りた。
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