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ほら、触れてみてください。私の手は、こんなにも暖かい。たとえそれが、赤く汚れたものだとしても、暖かいという事実は変わらないのです。
最近夢を見ました。毎日毎日、同じ夢を。貴方が離れて行ってしまう、夢を。
だから、私は決めました。貴方を誰にも渡さない、と。貴方は私の全てであり、この世界でした。それを失ってしまっては、私は生きていけません。
私の決意は、もしかしたら愚かなものであるかも知れません。でも、そんなことはどうでもいいのです。この世界には、正義も悪義も存在しない。そこにあるのは、想いだけなのですから。
私は私を肯定します。そうやって、行為に意味を与えてきました。そして、これからも与えていくのです。
思えば、貴方と過ごした日々は、短いながらも何より輝いていました。想い出は色鮮やかに、私の目に焼き付いています。それが貴方の中でどれだけ大切なものか、私には知る術がありませんでした。
でも、気付いたのです。
私が貴方の全てを手にすれば、何もかもを理解できる。そう、思いました。
それなのに、私の胸から流れる赤が、止まらないのです。
だけど、これで貴方と一緒になれるわ……。
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