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「僕は花坂柳(はなさかやなぎ)です。明日の会議の打ち合わせやプレゼン作りで遅くなって、一人で帰ってたんで、襲われてもおかしくなかった状況でした。そして案の定ここに…」
柳はスーツをキッチリしていて、見るからにできる社員という感じだ。
しかもハキハキと一言一句を発言し、職業病だろうか、内容を事細かく正確に言っている。
そのため、より一層そう感じられる。
それに加え、顔もイケメンとやらで確実にモテるであろう。
正直うらやましい。
「俺は…」
と、直人が話しだす。
それから美奈子、俺の順番で自己紹介をしていった。
自己紹介が終わる頃には目が慣れて、あたりが見えるようになった。
ここは工場?いや倉庫?
それにしても不思議なことに、光が差さない。窓がないのだ。そしてあるのは、たった一つの鉄のドアだけ…。
一瞬だけ嫌な予感がよぎる。
上を見上げると天井がある。どうやら上には照明があるようだ。
しかも二階があることが分かった。吹き抜けで見えるようになっている。
全体の3分の1くらいのスペースだ。
だが階段がない。なぜ?
せめて梯ぐらいあってもいいだろう。
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