序幕(…終幕)

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あの時と同じ波の音 あの時と同じ潮の風 あの時と同じ砂の浜 あの時と同じ星と月 もう此処に来ないと もう君を忘れようと もう砂浜は歩かない もう面影を消そうと あれほど誓ったのに 真夜中にあてもなく 車走らせ辿り着いた 君との想いでの場所 がさがさした手の指 ごつごつした背中 そして柔らかい唇 まるで昨日のように 俺の脳裏に浮かぶ 月あかりに照らされた 水面の君の幻影を ただ見つめている 星の煌めきが静かに 月のあかりが仄かに キラキラと輝く中 俺の頬を伝う涙を 隠すかのように 潮風が頬をなじる 海鳥の鳴き声が やけに切なかった .
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