エピローグ

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蒼子には、四歳以前の記憶がない。 二階のベランダから落ちて頭を強く打ち、それまでの記憶を無くしてしまった。 だが、蒼子は時折、夢を見る。自分が泣いて、女の人を追う姿。 その人が振り向きそうな所で、いつも目を醒ます。 そして、その夢を見る度、蒼子はいつも、「私は、一人ぼっち…」そう思い、淋しくなる。 そんな時は決まって、父の布団に潜り込んだ。 父は、いつも蒼子の髪を撫でて、寝かしつけてくれた。優しい父だった。
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