視線

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この時間帯になると近所の人達や生徒も家に帰ってしまい 車や自転車などの音以外はしなくなる。 だけど今日はそれらの音さえしなかった。 …寒いから皆閉じこもってるのかなぁ?… 柚子や皆に変な話を聞いたからか、どうも落ち着かない。 それにさっきから……視線を感じる。 …ストーカーかな。 でも足音なんてしない 自分の足音が妙に怖い。心臓の音が少しづつ速くなっていく。 やだ…本当にやだ! 家まであと少しだから頑張れ私! そう言い聞かせて速足で下を向いてスタスタと歩いていく。 ハァハァと息が荒くなって白い息が濃くなる。 ガチガチと歯が震え出した。 …寒い…なんで今日はこんなに寒いんだろう やっとのことで家の前まできた私は思い切って後ろを向いた。 「あのですねー………!?」 文句のひとつでも言ってやろうかと思ったのに。 私の後ろには誰もいなかった。
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