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僕はいつも同じ夢を見る。夢見るのはいつも決まって彼女の最期―...。
白い飛沫が上がる岸壁。
青白い月が照らす崖、その下に広がる黒く深い海がまるでこの世とあの世の境の様に見えて不気味だ。
そこに現れる一人の女性。僕は彼女を何故か知っていて、それ以上先へ踏み出すのを必死に止めているが、その声は打ち上げられる波音に掻き消されて彼女まで届くことはなかった。
刹那、彼女はふっと振り返り微笑んで僕の前から姿を消した。
夢はいつもそこで終わり僕は目覚め普通の日常を送っている。
あの女性は誰なのか..?
その疑問は忙しさの中に消えていった。
ある日いつものように仕事を終え帰宅するとすぐ睡魔がやってきて僕は抵抗する力もなく床に突っ伏して寝てしまった。
その夜みた夢はいつもと違っていた。
僕が彼女と話している。
彼女は嬉しそうに式場のパンフレットを広げ、ここは料理が美味しいだの、ここはサービスが微妙だのと僕に言っている。
―どういうことだ?
僕は彼女とどういう関係なんだ?
考え出すと切りがなかった。
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