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耳をすますと隣の部屋から規則的な寝息が聞こえてくる。
十五代目城主の次男、常磐津長久(トキワヅナガヒサ)…紅音の主である。
その関係は主君と従者というよりは、幼馴染みに近い。
紅音が城に来たその日から、二人は一緒に育てられた。
現在も紅音は毎晩こうして長久の隣の寝室で過ごし、不審な気配を察すれば…消す。
幾度となく長久の危機を紅音は守ってきた。
今宵は何事もなかったなぁ。
さて、そろそろお目覚めの時間か。
安堵の息とともに、紅音は主の部屋の襖を開け放った。
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