16人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ日も昇らぬ早朝、少女は目覚めた。
悪い夢でも見たのであろう。
顔色が優れない。
最近はいつもそうだ。
この夢で目が覚める。
辺りを見回すと、いつもと変わらぬ自分の部屋だ。
城の一室を与えられてはいるが、他のきらびやかな部屋に比べるとあまりに殺風景である。
座敷に小さな行灯と桐の箪笥、布団、そして少女のすぐ傍らに刀が一振置かれているだけであった。
刀を掴み安心したのか、少女はほうと一息ついた。
最初のコメントを投稿しよう!