主従

2/14
前へ
/90ページ
次へ
まだ日も昇らぬ早朝、少女は目覚めた。 悪い夢でも見たのであろう。 顔色が優れない。 最近はいつもそうだ。 この夢で目が覚める。 辺りを見回すと、いつもと変わらぬ自分の部屋だ。 城の一室を与えられてはいるが、他のきらびやかな部屋に比べるとあまりに殺風景である。 座敷に小さな行灯と桐の箪笥、布団、そして少女のすぐ傍らに刀が一振置かれているだけであった。 刀を掴み安心したのか、少女はほうと一息ついた。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加