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少女はおもむろに立ち上がり、着替え、髪を結い、唇に紅をひく。
行灯に照らされるその横顔は、非の打ち所のない美少女であった。
黒い絹糸のような髪。
薄い唇と透けるように白い肌。
大きな漆黒の瞳と、影を落とす弓状の長い睫毛。
あと五年もすれば、振り返らぬ者はない、絶世の美女になるであろう。
しかし、寝巻きから着替えたのは萌木色の着物に濃紺の袴…明らかに若い娘の装束ではなかった。
髪も動きやすいように、高い位置で一つにまとめる。
そして腰元に刀を差す。
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