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長い螺旋階段を降りた先にはこの世の者とは思えない生物の死体がいくつも転がっていた。
その死体達は、部屋の真ん中に位置する台とその前に居る男を囲むように散乱していた。
男は、グチャグチャと耳を覆いたくなるような音を立てながら生物を使って何かを造っていた。だが、死体の数を見るに、それは、ほとんど失敗していた。
「…チッ…何故だ!!何故成功しない!!材料は最適なはずだ!!
炎の悪魔の体、水の妖精の心臓、殺戮の神の脳…材料は…材料は、間違い無い筈だ!!!…何故だ…何故なんだ…」
その時ふと、一つの言葉が脳裏によぎった。
………命………
「…命…命だ。いけにえが必要だ…」
男はそう言うと、後ろにあった螺旋階段を駆け上がり、囚人が入るような檻が沢山設置されている部屋にでた。
その檻の中には、得体のしれない生物が居た。
中には、「出せ…出せ…」と、うめく生物も居た。男は廊下を暫く行くと、中でも一番頑丈そうな檻の前で足を止めた。
「…そうだ…こいつだ…こいつが相応しい。」
その生物は、頭が三つある犬…地獄の番犬ケルベロスだった。
男は必死に抵抗するケルベロスを実験室に入れ、魔法陣を書き始めた。
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