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その音は、言うまでもなく、銃弾が男の頭蓋骨を貫通した音だった。
男の頭には、赤い穴が空いた。だが、少ししか血は飛び散らない。
男は、少しよろめくが、平然と立っていた。
吐き気がした。
大体、驚かない訳が無かった。たった今頭蓋骨を銃弾で撃ち抜いたのに、男は、立っているのである。息遣いも離れているのに、聞こえてくるのだ。
ブラッドが愕然としているなか、男が振り向きながら口を開いた
「どうした…驚いているのか?…無理も無いだろう…俺は“選ばれた人間”だからな…」
男はフードを取った。
ブラッドに今までに無かった感情が芽生えた“恐怖”だった
男の額には、赤い穴が空いていた。だが、血は既に固まり、飛び散った血も固まっていた。
ブラッドは知っていた。血は死んでからでないと、固まらないことを…
「もう解っているのか……そうだ…俺は一度死んでいる…何故か知りたいのか…?」
男が続きを話そうとした時、“何か”が言った。
『行くぞ、俺の力ももう持たない。十字路に居る人間を全員消すなんて、無茶な呪文を唱えやがって…お前を生き返らせたのが俺だということを忘れるな…』
「解っています。」
そう言うと男は消えた。
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