はじまり

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俺の住んでるアパ―トは2階建て、俺の部屋は2階の一番端にある。 結構古いアパ―トだが家賃が安いので我慢している。 見た目がかなりボロイせいか住んでる人がまばらだが、そのおかけで少し騒いでも平気だったりする。俺の下の階には誰も住んでないが、隣には俺と同じ歳くらいの男が住んでる。名前が松下 慎吾。なかなかの好青年だ。 彼とは一緒にお酒を飲んだりもする。 俺の部屋は自分で言うのもなんだが綺麗に片付いている。几帳面な性格なのだ。 俺の部屋は玄関を入るとすぐに左手にキッチンがあり右手には風呂場とトイレ。玄関からまっすぐ進めば8畳ほどの部屋がひとつ。男一人が住むには十分な広さだ。 俺は狭くもなく広くもない自分の部屋でテレビを見ていた。 特に面白い番組はやってない。だが他にやることもない。 ふと昔の事を思いだす。 俺が小さい頃に両親が離婚した。それからは母親と一緒に暮らしていたが、その母も病におかされ俺が18才の頃に他界。それからは俺は一人で生活している。父親とは一切連絡はしていない。 昔は貧しいながらも楽しかった。家に帰ると聞こえる“お帰りなさい”が今は無い…どこか淋しい。 昔の事を考えてうつむいていた顔をテレビにもどした。 やっぱり面白い番組はやってない。
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