茶話休題:5 「柏餅」あるいは「かしわもち」について

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五月といえば、五月五日の『子供の日』 まぁ、いつの間にやら、ゴールデンウイークの中の一日と言うポジションになってしまっていますが、本来は 『端午の節句』 と言う古来から季節の節目を祝う大切なイベントでございます。 発祥は中国。 邪気を払い健康を祈願する日とされ、日本には平安の頃入って来たと思われます。 最初は貴族中心の宮中行事でしたが、時代が下るに連れ、古来から民間に伝わっていた、 「田植え前に女性だけで家の中で身を清める」 儀式である『五月忌み』と結び付き、広まっていった様でございます。 つまり日本では、意外にも元々は女性の節句だった様でございます。 本場・中国では、粽(ちまき)を食していた様で日本でも関西圏を中心にこの風習は今も残っております。 そう柏餅は、日本独自の文化でございます。 正確に言えば、東日本で生まれた文化です。 成立したのは、1661年から1667年位ではないかと言われております。 その理由として、1641年頃にまとめられた俳句の季語を記した 『拝諧初学抄』 には、まったく記載されていないのに、1661年以降にまとめられた 『酒餅論』 に記載されている為でございます。 更に当時の風俗を記した 『絵本江戸風俗往来』 に於いて、江戸では端午の節句には『柏餅』が一般的であるとの記述あるそうでございます。 1751年頃にはお菓子屋で扱うようになっていた様でございます。 当初は塩餡が主流でございましたが、時代が下るにつれ、小豆餡や味噌餡が主流になった様でございます。 ところで、何故 『柏の葉』 が使われる様になったか? と申しますと、柏の葉は新芽が育つまで古い葉が落ちない為、『子孫繁栄』のゲン担ぎの意味があるそうでございます。 東日本圏で、『粽』から『柏餅』に変わった時代背景を考えますと、当時の東日本は 『武家文化』の絶頂期。 西日本の『貴族文化』への対抗心、あるいは自分達の作った文化への強烈な『自負心』あったのかもしれませんなぁ。 文化と言う物は面白い物ですなぁ。 そうそう、最後に固くなってしまった『柏餅』を美味しく頂く方法を。 レンジで温めるのもいいのですが、葉を外して、網で軽く焼いてやりますと、風味が変わってなかなかでございますよ? 是非一度お試しあれ。 それでは、またのお越しをお待ちしております。
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