茶話休題:2 「さんま」あるいは「秋刀魚」について

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まずは名前の語源でございますが、「狭真魚」(さまお)が転化したというのが有力な様でございます。 ちなみに「秋刀魚」というのは 「秋にとれる刀の様な魚」 という意味の当て字で、大正時代の頃から広まったようでございます。 今でこそ、一般的な秋の味覚でございますが、意外にもその歴史は浅く、元禄の頃書かれた「本朝食鑑」と言う食材図鑑には、名前さえ載っておりません。 これは、さんまは比較的沖合にいる事が多く、効果的に捕獲する方法がなかった為と思われます。 1700年頃、紀州で開発された漁法が、房総などに技術移転され、それを機に一気に江戸の食卓の主役に上り詰めた、、訳ではない様でございます。 と言うのも房総物のさんまは、海流に乗って南下の途中で脂が乗り切った状態で、脂っこくて下品な味と言われ、当初は人気なかった様です。 勿体ない話でございますなぁ。 そんな、さんまが一般化した背景に「江戸の華」が関係したという説がございます。 当時の江戸は、三年に一度大火災が、ボヤ程度なら七日に一度位発生していた様で、その結果、食料事情が悪化し、安価で入手し易いさんまを「下品な味」と食べない訳には行かなくなった。と、言う物。 この説が正しいとすれば、この時期に美味しく食べる工夫として、 「大根おろし」との組み合わせが生まれた。 と考えると、なかなか興味深いと言えますなぁ。 さて皆様方は、さんまにあまり鱗(うろこ)のイメージはお持ちでは無いと思われます。 通常、私達が眼にするさんまは、ツルツルで鱗など見当たりませんな。 では「鱗の無い魚」なのかというと、違うのですねぇ。 実は、ちゃんとあるんですねぇ、泳いでる時は。 さんまの鱗は、細かい上に非常に 剥がれ易いんだそうですなぁ。 ですから、水揚げされる時に擦れて、この段階で、ほとんど取れてしまうそうでございます。 ここで、美味しいさんまの見分け方を、、目に濁りがなく、口元に黄色味が強い物が良いそうでございます。 さて、ここまでさんまの話をしました以上、あの話をしない訳にはいきますまい。 そう「目黒のさんま」次回は、さんま・その2としてお話させていただきます。 次回も五月亭にお越し下さいませ。
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