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うん。と、加奈が頷き。
男が、
「大丈夫ですよ。死んでいるみたいですし」
と微笑んだ。
何やら、さっきまでと打って変わって、やたらと妖艶な笑みを見せて来るのでいぶかしい思いで観察してみた。
俺と同い年か、少し上くらいか。
女みたいな顔をしていて、異常に肌が白い。
地元の人間ではないのかも知れないな。
少し観察すると、後はもう興味もなく再度加奈の方を見やると、雅人が木の枝に蛇を乗せ、加奈を追いかけ回していた。
止めさせないと。
思わず焦ってしまう。
加奈はうにょうにょ動く系統が全て駄目だ。
なのにグロテスクなものは平気って言うんだから、不思議なもんだ。
急いで雅人を止めに入ると、雅人は不思議そうな顔をしていた。
「なぁ?亮」
「うん?」
神妙な顔付きで何かを考えている様子に思わず雅人に近付いてから。
「この蛇、頭潰れてんだけど。何でかな?」
雅人にそう言われ、思わず少し後退る。
よく見てみると、蛇は本来なら頭の有るべき所がなくなっていた。
蛇が落ちていた場所を見ると、何やら潰れて飛び出したらしき代物がこびり付いている。
よく、こんなもの振り回すなぁ…。
ある意味で関心をしていると──。
「じゃあ。私は此処で失礼します。館へは、そこを道なりに入って直ぐだそうですよ」
と、男が言うので。
加奈と雅人の間に割って入っていた俺は慌ててお礼を述べた。
「では、イベント終了後に迎えに上がりますので」
そして、鈍くモーターが回転を始め、ボートは船着き場を離れていった。
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