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「鬼女様の呪いかねぇ…」
漁師が思わず、ぼやいたのを俺は聞き逃さなかった。
「何ですか?呪いって」
「…いや。鬼女様っちゅーのは恐ろしい方でな」
ごくり。と、漁師が唾を飲む音が聞こえるような気がした。
「昔。まだ、此処ら一帯が鬼女島の女主人の物だった頃──」
漁師の話しを簡単に纏めるとこうだった。
酷く閉鎖的だった、小さな村。
そこから更に隔離されるように有る小さな島。
昔。鬼女と呼ばれた女主人がその島には住んでいて。
村は代々、女主人の家系の統治下だったが閉鎖的では有る物の平和ではあった。
それが一変したのが鬼女と呼ばれた女が当主になってから。
同時は古い旧家だった和式の屋敷は壊され、それを忌み嫌うように女主人は洋式の舘を建てた。
閉鎖的な村から更に隔離される様に有った島には舘と一緒に異様な物が建てられた。
それは恐怖で民衆を抑え付ける為と当時言われた。
逆らう者は全員捕らえ、館の敷地内に有る周りを剣山で囲んだ塔から捕まえた者を一人ずつ落とし。
串挿しにしたそうだ。
そして、溢れ出た血を集め。
血を浴びていたそうだ。
塔は恐怖で統治する為ではなく、女主人が浴びる血を集める為だけに建られた。
それ故に鬼女と呼ばれ。
ついには民衆に生きたまま殺された──。
それがあの鬼女島を彩る伝説らしい。
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