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そんな訳で俺は駆り出され、現在に至る訳だが……。
実際、ちょうど良い暇つぶしだった。
それに──。
このホラー企画は、女性に人気が有るらしい。
「もしかしたら、素敵な彼女との出会いが有るかもよ?」
その言葉は俺を承諾させるには充分過ぎる威力を持っていた。
青い海に素敵な彼女。
長い間独り身の俺としては、ついつい心踊らされてしまう訳だ。
けれど、ここに来て俺は少し後悔を感じていた。
「呪い…か」
口に出してみる。
何か、気味が悪いな。
結局、漁師はあれ以上は詳しくは教えてくれなかった。
それに…。酷く歯切れが悪かった。
まるで何かを隠しているような…。
「考え過ぎかな」
また、独り言る。
「………」
「………」
「ん?」
俺を見つめる四つの瞳。
その瞳達は俺をまじまじ見つめると、こう真剣に言い合った。
「やっぱり。一度、病院かな?」
「こうも妄想癖が有るって、普通じゃないよな。しかも何か独り言多いし」
し…失礼だ。
極まりなく失礼。
けれど、相手は子供。
俺は怒れる気持ちを抑え、にっこりと笑い。
毅然と言い放った。
「俺は、極めて正常だ」
だけど、何故か二人の視線はその後も痛かった。
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