第三夜

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考えてみれば、府に落ちない事だらけだった──。 美沙斗を看病していた筈の真衣は何故か夜中に塔に上り。 美沙斗は朝方、皆が寝ている内に一人帰ってしまった。 俺は会って間もないが何も言わずに帰ってしまうような娘には見えなかったが、かなり具合が悪かったのだろうか──? それなら、何故。 余計に真衣が美沙斗から離れて、わざわざ塔に何か上ったのか。 何も無かったなら、好奇心で上っただけと分かる話しなのだが──。 あの部屋の大量の血は動物の物だったとしても気味が悪いが、凝った演出を見ているので。 あの臭いも何かで臭い付けしたようにも思える。 だって、本当のむせかえるような血の臭いなんて知らないから。 そして、何故。 食堂にタオルが用意されていたのか──。 柏木さんは山菜取りに行っていて。 戻って来た所を雅人達と、会ったりはしていない。 誰とも会っていないのだから、誰かが外に出ていたのなど分かる筈もないのに。 何故タオルを用意していたのか。 疑問だらけだ──。 また、訳が分からなくなって来て。 枕に顔を埋めた。 静かな部屋に雨音に加えて、ガタガタと窓が鳴る。 疑問と不信感ばかりで、気になる事は多いのに。 やはり疲れているせいなのか、まどろみ。 眠りに落ちて行った。
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