【序章】

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「もうすぐ、着きますよ」 ボートを操縦する送迎人と名乗る男に促され、俺達は船首の方を向いた。 「うわぁ」 「すっげぇ」 加奈達が感嘆とした声を上げる。 俺はと、言うと。 迫り来る砂浜と、青々とした緑の群集を視線の先に新たな妄想に浸っていた。 大自然の中。 広く白く切り開かれた砂浜。 そこで舞う美女達。 うん。悪くないな。 思わず、頬が弛み。 「お兄ちゃん!何かエッチな想像してるでしょ?!」 「か…加奈?──って、痛たたぃたたたぃ」 油断していた所を加奈に思い切り頬を捻り上げられた。 何故、バレたんだろう? 我が妹ながら、勘の良い…。 雅人と言えば、見慣れたものを見るような呆れたような目付きで、こちらを見て、笑った。 砂浜から、少し左に逸れた先には直ぐに船着き場が有った。 かなり広くて立派だ。 そう言えば、元々は此処ら一帯を統治していたんだっけ? そんな事を思い出しながら、ボートを降りる。 「足元に気を付けて下さいね」 にっこりと送迎人の男が柔らかに注意を促す。 あれ? 光の加減だろうか? 何だか、目が赤く見える気が……。 「きゃあっ」 突然上がった悲鳴に何事かと。 慌てて目をやると、加奈が降りた直ぐ脇に大きな蛇が横たわっていた。 「だっ。大丈夫か?! 噛まれてないか?」 俺はビックリして、とっさに加奈を引っ張り寄せた。
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