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今度の沈黙を破ったのは男の子のほうだった。
「僕さー、緒方優って言うの。」
いきなり名前を言われて驚きを隠せなかった美香だった。
「え?あ、そうなの?」
「うん。君の名前、教えて?」
優が笑顔で聞いてきた。
「あ、私は浅香美香よ。」
「美香かぁ~。んー…。」
優はそれきり考え込んでしまった。美香はというと、自分の名前を出して微妙な反応を取られたことに対して、苛立ちを抱いていた。
「ちょっと、人の名前聞いといてそんな反応…」
「あ!いいの思い付いた!『美しい香り』にしよ。題名。ね?良いでしょ?」
美香が言いかけたのを遮って、優が顔を上げ早口に言った。美香は呆気に取られて、何も言うことが出来なかった。
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