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  「もしもし」 「はい、こちら――」    電話の相手はかけて来た人物が誰だか分かっているはずだが、長ったらしい前置きを述べ始めた為、少年は先手を打った。   「見張り完了しました。異常なし。ところで俺、本日限りで――」 「お疲れ様です。では本社に御越し下さい」    有無も言わさぬ速さで電話を切られ、ガクリと肩を落とす。   「諦めてたまるか」    自分の頬を叩いて薄れ始めた気合いを入れ直し、リダイアルを押した。  三回目のコールで相手が出る。   「用件は本社で――」 「直接言えってか? あの糞野郎に?」 「……暴言は慎みなさい。チェック入るのよ」 「そりゃいい。これで辞められる」    数秒の沈黙。  ため息が聞こえ、呆れたような“逆効果”という呟きの直後に、電話が切れた。
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