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10年前。人類は突如現れた時空の歪みから来た"来訪者"に襲撃を受け、未曾有の大被害を受けた。
―都市は滅び、今では行く宛てのない人々が僅かに残った文明の跡にすがって生きている状態だ。
10年前の「戰」によって、"来訪者"のほとんどは破壊されたが、未だに一部生き残っている。そいつらから人々の住む集落を守るのが私の仕事だ。
今日は、西の方にある凱旋門跡の集落の長老に依頼を受け、愛機「バイソン」にまたがり集落に向かっている。「…まだかな…。」
何処までも荒野が広がる。たまに見るのはビルの残骸やひしゃげた道路標識ぐらいだ。
やっと集落が見えてきた。
私はバイソンの速度をあげた。
―集落につくと住民一同が迎えてくれた。
食事や酒を振る舞ってくれた。が、未成年なので酒は断った。そして寝床を借りて仮眠をとった。
―深夜2時頃、目が覚めた。
私だけではない集落の人間全員目が覚めたろう。――これだけ地響きがすれば。
私は住民に落ち着いて屋内にいるように説得したあと、外に出た。
…おびただしい数の黒い陰が集落を囲む。
「…機兵か。魔族よりはマシだな。」
―"来訪者"というのはなにも一つの組織を言うのではない。"来訪者"とは人類に仇なす存在をひとまとめにした呼び方で、いくつかのタイプに分類できる。魔族や神兵器、異邦人等々…。そして今回襲ってきたのは機兵といい、異世界から侵略目的で送り込まれた機械である。
「……ひとつひとつは大したことないが数が厄介だ。仕方ない、こいつを使うか…」
私は着ていたコートに呪印を刻む。するとコートがひかりだし瞬く間に剣の形へと姿を変えた。
「消し飛べえぇぇぇっ!」
私は光の剣を全力で振りぬき、周りの敵を一掃した。
「潰したか。…しかしおかしい。いくら残党がいたとしても魔族といい、機兵といい生殖能力はない…。もしかしたらまだ時空の歪みがどこかで生きているのか…?ならば、歪みから過去にいって歴史を変えられるのでは…?」
―私は、次の日集落を後にして時空の歪みを探す旅に出た。過去に行き"来訪者"を迎え討ち、歴史を変えるために。
…そして、「戰」で救世主と呼ばれ散っていったまだ見ぬ父に会うために…。
…いつか、この手に平和を掴む日を夢見て。私は戦い続ける。
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