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「よし、行こう」
顔も洗ったし、歯も磨いた。髪もきれいに梳かしたし。私は鞄を肩にかけ、革靴を履く。
「父さんが送っていく」
今までどこにいたのか、父さんがふらっと玄関に現れた。
「いいよ、一人で行けるから。学校見学も一人で行ったし……」
しかし私の言葉など聞かず、父さんは靴を履いて外に出た。私はもう、と頬をふくらませ、父さんに続く。
「いってらっしゃい」
気難しそうな顔をする母さんを家に残して。
「行ってきます」
このとき私は、絶対に落ちてたまるかと、闘志をメラメラ燃やしていた。今から受ける高校がどんなところかも知らずに。
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