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「……なんか、おかしいよね?」
入寮式当日、用意された制服を目の前に、私は頭がおかしくなりそうだった。
「制服間違えているんじゃない?」
壁にかかる、深緑の比較的派手な制服。学ランのようにしか見えないそれ。加えてマントみたいなものまでついている。
「空、早く用意して」
ドアがノックされ、母さんの急かす声。私はともかく着てみようと制服を手にした。これを着れば、母さんだって間違いに気づくはずだ。
「よし、」
意を決して、私は袖を通す。着替えて姿見を見ると、どこからどう見ても男の子みたいで、ちょっと悔しい。髪の毛をもう少し伸ばそうかな、と髪の毛をいじっていると、母さんの催促の声。
「いま行くー」
私は指定のカバンを手に、マントを抱えて玄関に向かった。
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