入学式入寮式

7/17
前へ
/714ページ
次へ
 ざわざわ、なんだか男らしい軍団が目に入る。……寮って、男女合同なの? ふいにそんな疑問。そうだよ、見渡してみる限り、女は私と晴依しかいない。あれあれ、どういうこと? 「雨依、部屋割り見える?」  人ごみに割って入るも、身長が足りなくて紙が見えない。そんな私を気遣って、晴依は身長の高い雨依に聞いてくれた。 「見える」  ブスッと言う雨依の声は、低くて甘い声。 「那珂宮ってある?」 「あるよ」 「何階?」 「四階」 「場所は?」 「四○二」  わあっと、晴依が手を叩く。 「空、隣の部屋みたいだよ」 「え、やったー、嬉しい! あ、教えてくれてありがとう。雨依も」 「呼び捨てにするな」  雨依は相変わらずの仏頂面で、ふんっと顔を背ける。あらら、嫌われたかな、少し困った。まあ、いいか。 「晴依は一人部屋?」 「ううん、二人部屋……雨依とね」  やれやれと首を振る晴依の表情は、ああ、お姉ちゃんだなというものだった。
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5975人が本棚に入れています
本棚に追加