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ざわざわ、なんだか男らしい軍団が目に入る。……寮って、男女合同なの? ふいにそんな疑問。そうだよ、見渡してみる限り、女は私と晴依しかいない。あれあれ、どういうこと?
「雨依、部屋割り見える?」
人ごみに割って入るも、身長が足りなくて紙が見えない。そんな私を気遣って、晴依は身長の高い雨依に聞いてくれた。
「見える」
ブスッと言う雨依の声は、低くて甘い声。
「那珂宮ってある?」
「あるよ」
「何階?」
「四階」
「場所は?」
「四○二」
わあっと、晴依が手を叩く。
「空、隣の部屋みたいだよ」
「え、やったー、嬉しい! あ、教えてくれてありがとう。雨依も」
「呼び捨てにするな」
雨依は相変わらずの仏頂面で、ふんっと顔を背ける。あらら、嫌われたかな、少し困った。まあ、いいか。
「晴依は一人部屋?」
「ううん、二人部屋……雨依とね」
やれやれと首を振る晴依の表情は、ああ、お姉ちゃんだなというものだった。
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