5975人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ荷物置いたらそっち行くね」
エレベーターで四階まであがると、晴依と雨依は部屋に入っていってしまった。私はため息をつき、四○二号室のネームプレートを見る。
「那珂宮、と……」
自分の名前を確認すると、部屋のドアノブをひねった。
「おお、」
部屋はそう広くはないけど、陽の射し込む清潔な部屋。二段ベッドがあるから、二人部屋なのかな……ネームプレートは私の名前しかなかったけど。
「くーうっ」
チャイムが鳴り、晴依の声がした。
「はーい」
私は荷物を放り出し、部屋を出る。男子校って、どっきりだよねきっと。たちの悪いギャグ。そうだよそう。自分に言い聞かせるものの、それは間違いだと気づいていた。ただ、信じたくなかっただけ。
ともかく父さんに文句を言わなきゃ。私はぎゅっと拳を握った。
最初のコメントを投稿しよう!