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「お前、飯食ってるか?」
私が起きあがると、その男の子は言う。
「食べてるよ」
「もっと食べないと強くなれないぞ」
「別に強くなる必要なんて……」
「男の子は強くてなんぼだ!」
なぜかそう力説する男の子を見れば、なるほど緑色の制服。同じ、学校だ。
「そう」
適当に話を合わせて、別れて、父さんに早く電話をしたい。しかし私の小さな願いはかなわない。
「お前、一年か?」
「え、まあ……一応」
「じゃあクラスメートか!」
「クラスメートかどうかはクラス発表がないとわからな、」
男の子は私の肩に腕をまわし、カッカッと笑う。
「ここで会ったのも何かの縁、仲良くしようぜ」
面倒くさい人に出会ってしまったー……。男の子は青い髪をかきあげ、言った。
「俺は海だ。海と書いて、かい」
「ああ、ぴったりだね」
そう言うと、海は嬉しそうに笑う。
「私は空、空って書いてくう」
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