5975人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
「入寮式出なくてよかったのかな」
寮に戻ると、もう入寮式は終わっているみたいで、談話室はざわざわと宴会場みたいになっている。
「入寮式って明日じゃないの？」
海はほけっと言う。
「今日だよ」
「うそだあ、じゃあ明日は？」
「入学式」
そう返すと、海は目をぱっちり開いた。
「俺、母ちゃんに明後日が入学式だって言っちまった」
「……本当は明日だったって連絡すれば？」
「おお、そうだなそうしよう」
海はわたわたと、ポケットを探る。
「携帯がない」
焦った様子で全てのポケットを出した海は、はっと手を叩いた。
「部屋に置いておいたんだった」
そしてカッカッと笑う。何なんだろう、この人は。私はついため息をつく。天然？
「まあ仕方ない、部屋で語り合うか、空！」
「な、なに急に。意味わかんない」
やっぱり変な人と知り合ってしまったみたい……。
最初のコメントを投稿しよう！