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「知り合い?」
海の隣にお盆を置く。海の前の席には雨依、雨依の隣に晴依、という席だ。
「ライバルだっ」
海は食べ終わったお盆を左側にずらして、高らかに言う。
「……ライバル?」
私はスプーンにカレーライスを乗せる。
「ああ、よく戦った……」
腕を組み、遠くを見つめる海。ただ黙々とカレーを食べる雨依。二人が対照的でなんだか面白い。
「な、雨依!」
海が雨依に同意を求める。突然でびっくりしたのかむせる雨依。
「大丈夫?」
心配の眼差しを大丈夫と片手でかわすと、水を飲み干した。晴依は気にする様子もなく、ガツガツとカレーに夢中。さっきまで山盛りだった米が、もう三分の二になっていた。……すごい食べっぷり。
「お前、ここでも入部するだろ?」
海が雨依に楽しそうに聞く。
「……スポーツ推薦だからな」
ぼそっとつぶやいた雨依の言葉は私には聞こえなかったが、海にはバッチリ届いたらしい。
「やったー、未来の相方ゲットー」
両手をあげ、海は満面の笑みを向けた。
「いや、それはどうかと」
「ゴールデンコンビになろうな」
雨依の言葉をあっさり聞き流し、海は自分の世界に入っていた。
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