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「部活なにかやっているの?」
海に聞くと、ああと大きく頷き、
「ハンドボール」
と真剣な目をした。
「は、ハンドボール?」
聞き慣れたスポーツに、私の目が輝いた。
「まあそういうスポーツがあるんだよ」
それをハンドボールを知らないと勘違いしたのか、説明が面倒くさいのか、雨依は手を振った。
「空は何か部活入るのか?」
「いや、特には」
本当なら、ハンドボールに入部したいけど、男子ハンドでやっていけるほど力はない。だが、体がうずうずした。
「ならハンド入部しなよ」
突然、海は私の空いた手を掴むと、そう誘ってくれた。頷きたかったけど、ダメダメ。レベルが違う。私は中学で女子ハンドをやっていた。弱小だったから、県大会に行くのがやっとだったけど、男子は強かった。全国大会で沖縄に行っていたのがうらやましかったのを覚えている。
「そうか」
海は残念そうに手を離すと、雨依と部活話を始めていた。
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