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「はあ、お腹いっぱい」
話に入らずご飯に夢中になっていた晴依が、はあっと満足げな息をはいた。見ると、こんもりあったはずの晴依のご飯は、米粒一つない。
「すごっ」
私はと言えば、やっと半分食べ終わっただけ。話していたとはいえ、雨依だって食べ終わってない。こんな小さな体で、すごいなあ、と素直に感心した。
「普通だよ」
私の言葉に少し照れる晴依は、やっぱり可愛い。私も早く食べなきゃ。もうお腹はいっぱいに近かったけど、無理やりにカレーを詰めこんだ。ここでの生活は太りそうだなあ。
「ふう」
やっと食べ終わると、晴依がにっと笑った。
「ごちそうさま」
一緒にそう言う。ああ、待っててくれたのか。小さなことが嬉しい。そして話が盛り上がる二人を置いて、私たちは部屋に戻る。
「雨依、海が苦手なのかと思ったら意気投合してたね」
エレベーターで四階を押す。
「雨依、部活バカだから」
笑う晴依のお腹はぽっこりふくれている。
「晴依ってたくさん食べるんだね」
私は晴依のお腹を見ながら言った。視線に気づき、晴依は照れ笑い。
「食べた後はお腹が大きくなるんだ。すぐ戻るんだけど、」
「あれだけ食べたらねぇ」
「えー、少ないくらいだよ」
チン、と音がなり、四階についた。
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