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「開けてくれー」
十回ほどノックをしたとき、ガチャンと鍵の開く音がし、ドアが開いた。
「……うるさい」
不機嫌な顔が現れる。私だって、不機嫌だよ!
「嫌いだからって閉め出すのはどうかと思う」
部屋に入りながら、陸に食ってかかる。
「部屋を出ると勝手に閉まる」
「え?」
陸は本当に面倒だとばかりに、私を部屋から押し出した。
「ちょ、ちょっと!」
ドアノブをひねると、また閉められている。が、すぐに開いた。
「わかった?」
「わからない」
素直に言うと、もういいやと陸はため息をついた。
「ちょっと、陸」
……どうにもすっきりしない。
「部屋を出るときは必ず鍵を持て」
「鍵ってどこに」
「……机の上」
見ると、机の上にはカードのようなものがあった。
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