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ゆさゆさと揺すられ、目をこする。よく眠れていたのに、と少しムッとした。
「……あと三分」
そう口にすると、頭をバシッと叩かれる。
「いったー!」
それが手加減を知らない叩き方なものだから、私は頭を抱えて、座っていた椅子から立ち上がる。机に突っ伏して寝ていたせいで、首がぐきっと痛んだ。
「ガキじゃあるまいに」
私を叩いたらしき丸めた雑誌を手に、陸が嫌々立っている。
「暴力反対!」
頭と首をおさえ、私は地団太をふむ。陸はため息をもらすと、時計を指差した。
「……遅刻反対」
見ると、時計は八時半を指している。入学式は十時からのはず。何が遅刻?
ボーっと考えていると、陸がプリントをくれた。ふむふむ、どうやら新入生は、八時四十分までに教室に集まるらしい……って、四十分!?
「君に付き合って遅刻なんて嫌だ」
「も、もう少し早く起こしてくれたら、」
「……何度も起こした」
「でも、」
「……はぁ、普通は一人で起きれるだろう。叩いてまで起こしてやったというのに感謝もなしか」
陸はそう言うと、さっさと部屋から出て行った。そりゃ起こしてもらったことはありがとうだけど……って、さっさと着替えなくちゃ!
「くっそー」
初日から遅刻だなんて……絶対目立っちゃうよー。
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